「ピクリン酸 梅」を Google で検索すると,梅にピクリン酸が入っていて肝臓に良いなどという健康食品関係のページがたくさんあって驚いた.
| 梅 ピクリン酸 に一致する日本語のページ 約 1,300 件
それによるとピクリン酸は乗り物酔いや二日酔いに効き,肝臓の機能を高める効果があるなどとされている.
梅から微量なピクリン酸を見出したのは川島四郎博士だ,というサイトもある.川島四郎博士は旧陸軍の軍人,桜美林大学の元教授で,栄養学の本をたくさん書いた先生のようだ.ただ本当にこの先生が「ピクリン酸」について何か言ったのかどうかはわからなかった.
なお「Prunus mume Picric acid」で検索すると,同様の記述が少しだけ見つかったが,数は少ない(下記の55件という数字も「栄養としてピクリン酸が入っている」というページの他に,「実験にピクリン酸を用いた」というページが含まれている).
| Prunus mume Picric acid の検索結果 55 件
また,ピクリン酸を植物が作るという文献も検索では見つけられなかった.
結局のところ,正しくはピルビン酸か何かではなかろうか?
| 梅 ピルビン酸 に一致する日本語のページ 約 1,800 件
誰かがある時ピルビン酸とピクリン酸を間違えたのが,伝播してしまったのだろうか? そして外国語にまで訳されていったのだろうか?
あと,川島四郎の名前は見覚えがなかったが
* 「蛋白質」では分かりにくいとして「卵白質」という語を使用
* 「連合赤軍の大量リンチ殺人事件」を食の観点から分析し,インスタント食品ばかり食べることによるカルシウム不足を指摘
* 91才まで生きた
といった記述があり,興味深い.
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